ペットサロンの楽しみ方
コンピュータの黄金期は、テレビの黄金時代にそっくりだ。
テクノロジーは原始的だが個人の創造性を制限するものはほとんどなく、みんなが他人の技術を盗みまくっていたのだ。
当時、アップル、コモドール、ラジオシャック、そして100社あまりのCP/Mマシンメーカーが、小さいけれども成長しつつある市場を一度に8ビットのデータしか処理できないコンピュータで支配していた。
8ビットコンピューティングの時代である。
こうした小さなコンピュータを通るデータの流れは、8レーンのハイウエーのようなものだ。
これに対してミニコンピュータやメインフレームは、3ニレーン、あるいはそれ以上の車線を持つフリーウエーだ。
だが、アップルをはじめとするパーソナルコンピュータ会社が達成しようとしていた目標を考えれば、8レーンで充分だった。
メインフレーム・コンピュータの利用環境を、3000ドルで机の上に載せる。
それが彼らの目標だったのである。
当時のメインフレームは、それほど印象的なものではない。
メインフレームの世界には、凝った高解像度カラーグラフィックスさえなかった。
テレビのような魅力すら持っていなかったのだ。
誕生した瞬間からアップルUは絵を描けるようになっていたが、I社のメインフレームではそんなことは不可今日では、たとえば数百万人の人々が、ただ単に楽しむためにパーソナルコンピュータを使って世界規模のデータネットワークを通じてコミュニケーションしている。
以前、こんなことがあった。
コンピュサーブ・ネットワークに加入しているある女性が自分のヌード写真をスキャナで取り込んで、数カ月間オンラインでナンバしてきた男たちに、ネットワーク経由でデジタイズした画像を送ったのである。
魅力的な肢体とウワサされた彼女の写真は華麗な高解像度カラーグラフィック画像となって、よだれを垂らしそうになっている一ダースほどのコンピュータおたくの画面でスクロールした。
彼らはその画像をすぐに数百人の親しい友人たちに転送し、そこからさらに転送されて:。
…。
メインフレーム・コンピュータでは、画像をこうやって端末から端末に送ることはできない。
そんな技術は存在しないのだから、仕方ない。
かりにそうした技術が存在していたら、XEのコピー機に飛び乗って自分の尻をコピーしたあの変わり者の秘書たちは、何年も前にそうやって自分の尻を電子的に配っていたに違い研究には二つの種類がある。
研究開発(R&D)と基礎研究である。
研究開発の目的は、販売するた私が言いたいのは、こういうことである。
初期のマイクロコンピュータのパイオニアたちは、メインフレームやミニコンピュータの世界から何でも盗み放題だった。
だが、実は盗む価値のあるものはそれほど多くなかったから、誰も気にしなかったのだ、と。
しかし1981年から82年にかけて16ビット・マイクロプロセッサが登場すると、メインフレームの役割モデルはクズ同然になってしまった。
このマイクロコンピュータ第二世代はメインフレームの代わりになる新しい役割モデルと、それを真似するための新しいアイデアを必要としたのである。
だが新しいアイデアは、はるかに強力だった。
とても強力だったから守る価値があり、私たちはルック&フィールの泥沼に足を踏み入れてしまったのだ。
こうした新しいアイデアのほとんどは、XEのパロアルト研究所から生まれたものだ。
それはいまでも変わらない。
パーソナルコンピュータ業界を理解するには、XEPARCを理解しなければならない。
今世紀いっぱい私たちが使うことになるコンピュータ・テクノロジーは、大半がPARCで発明されたものだ。
基礎研究から何か製品が生まれるとしたら、それは通常15年後から20年後、研究開発の期間を経ての製品を開発することだ。
エジソンは史上初の商業的に成功した電球を発明したが、電球の原理を発明したわけではない。
しかし、エジソンは少なくともその原理を理解していた。
これが、電球を発明することと火を発明することの根本的な違いである。
研究開発の「研究」の部分では、既存の科学知識に基づいて特定の製品に利用される新しい技術を開発する。
そして研究開発の「開発」の部分で、そうやって開発された技術を利用して製品を設計・製作するのだ。
研究抜きで開発を行うこともできるが、その場合にはどこかほかのところから研究をライセンス供与してもらうか、借りるか、あるいは盗むかしなければならない。
研究開発が成功すれば、短期間で市場に製品を送り出すことができる。
たとえばパーソナルコンピュータ業界では、新製品が市場に出るまでに一年半から二年かかるのが普通だ。
研究開発とは違い、基礎研究の目的は表面的には知識の探求自体にある。
基礎研究から生まれた科学的知識が、やがて研究開発の基盤として利用されるのだ。
軌道上への天体望遠鏡の打ち上げや、衝突型超伝導加速器の建造といったことが基礎研究にあたる。
たとえば、15億ドルの費用を投じスペースシャトルを使って打ち上げられた空飛ぶ天文台「ハッブル宇宙望遠鏡」が、新車や新型のコンピュータあるいは新しい固体廃棄物処理方法に直接結びつくことはない。
基礎研究の目的は、まったく別の研究を誰が行うか、資金がどこから出資されているかによって、基礎研究の真の目的は変化する。
基礎研究には政府が行うもの、大学が行うもの、それと企業が行うものがあり、それぞれが異なる目的を持っている。
政府の研究機関が行う基礎研究の目的は、主として世界中を吹き飛ばす新しいアイデアを考え出すことだ。
それも、どこかの非友好国の誰かが同じアイデアを思いつく前でなければならない。
宇宙望遠鏡や衝突型加速器は、宇宙の性質や構造を解き明かそうという文官のプロジェクトだ。
だが、宇宙の性質と構造は次世代の最終兵器を計画する人間にとっても非常に重要な意味がある、というのも事実である。
アメリカ政府が行っている基礎研究の3分の2は主に軍事関係のもので、残る資金の大半は医療関係に費やされている。
大学の基礎研究は大きく二つに分けられる。
多額の資金を必要とする研究と、少額の資金しか必要としない研究である。
高額資金が必要な研究は、政府の研究にとても近い。
政府に委託されて大学が研究を行ってはいるが、実は政府の研究なのだ。
政府のほかの研究と同じく、多額の資金が必要な大学の研究は宇宙の性質と構造の解明か、あるいは生命の解明を目的としている。
言い換えれば、どちらが先になるかはわからないが、真の目的は世界を吹き飛ばすことか、生命を引き伸ばすことか、そのいずれかなのだ。
繰り返そう。
政府が基礎研究を行う動機はそこにある。
一方、大学が政府と契約して巨額の費用がかかる研究を行う動機は、教授や大学院生を養い、ツタに覆われた校舎の床にワックスをかける費用を調達するためだ。
私たち外部の人間は、彼らは教えたり学んだりで忙しいと思い込んでいる。
ところが実際には、連中は生活のために巨額な費用が投じられた研究を行いながら、おそろしく長い夏期休暇や服装規定がないことを自慢しているのだ。
少額の基礎研究というのは紙と鉛筆、場合によっては黒板程度しか必要のない研究だ。
この手の研究の目的は、普通は大金を引き寄せることなどない分野の知識を増やすことにある。
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